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【KNT-CT HD 前編】旅行業だからこそできる、食体験の提供による地域創生 Food
Innovation

【KNT-CT HD 前編】旅行業だからこそできる、食体験の提供による地域創生

新型コロナウィルスの長期化により、地方経済や観光業は多大なダメージを受けた。そんななか、旅の新たな可能性を掘り起こし、地域創生など様々な社会課題に着目した新規事業の開発に取り組むのが、KNT-CTホールディングス株式会社の「未来創造事業」だ。
2021年10月に新設されたこの事業が最初のプロジェクトとして始動させたのが、旅と食という視座からウィズコロナ時代の地域創生を狙った、サステナブルフードの開発。第一弾として、粉末コオロギを使ったスナック菓子『旅する未来フード クリッピー』が発売された。なぜ旅行会社が食の分野に新規参入をするのか、また、食が持つ可能性について、企画を担当した佐藤優麗香氏(以下、佐藤)と中村達也氏(以下、中村)に聞いた。

 

価値のある体験を提供することが旅行会社の役割

 

未来創造事業は、旅行業の枠に捉われず、幅広い分野で「旅」を再解釈した新事業を展開することを目的として設立された。地域経済発展、都市魅力創造、ホスピタリティ&ウェルビーイング、エンターテイメント&スポーツの4つのテーマでの新規事業を計画している。

「旅における旅行会社の役割は、体験を提供することです。文化や歴史、自然環境など、旅の中でお客様はさまざまな体験を楽しまれます。一方でコロナ禍の行動制限により、求められる旅のスタイルも変わってきていて、より価値のある体験を求める方々も増えています。そこで、現地に行かずとも、視野を広げられる体験をお客様に提供することも旅行会社の役割ではないかと思っています」(中村)

 

旅の満足度において大きなウエイトを占める食体験

 

コンセプトのひとつが、旅の非日常感や新たな発見を、日常生活を含めて、もっと身近に感じてもらうこと。そのなかで、旅行との親和性の高さから最初のプロジェクトとして選ばれたのが、食分野への参入だ。KNT-CTホールディングスでも、ツアーを企画する際には、郷土料理や名産品を食べてもらう機会を必ず作っており、旅の満足度に対する食体験のウエイトは大きいと分析する。

「旅行業界ではよく、天気が良くて食事がおいしければ、その旅は成功だと言われています。インターネットの普及により、さまざまな情報にアクセスできるようになりましたが、旅行業界にいると、今でも知られていない食文化や食材が各地にたくさんあることがわかります。旅行会社が食分野において取り組むべきは、地域と連携して、埋もれたおいしいものを発掘したり、市場には出回っていないものをお届けし、地域創生や地方活性化へとつなげていくことだと考えています」(中村)

旅行業で培った全国各地とのネットワークも、食業界への参入をスムーズにした。食品を作り上げる工程も分からないなか、さまざまな企業のサポートを受け、『旅する未来フード クリッピー』は完成した。販路でも、旅館、土産物店、科学館などの教育文化施設など、旅行会社として培った実績が生かされている。

後編では『旅する未来フード クリッピー』のサステナビリティと、商品開発に込められた思いをお届けする。

 

 

中村 達也
Tstsuya NAKAMURA
中村達也 プロフィール

KNT-CTホールディングス株式会社 社長室 課長(未来創造事業担当)
1976年生まれ
入社以来スポーツイベントをメインにした法人営業を担当。
観光庁出向、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会出向を経て2021年10月より現職。

 

佐藤 優麗香
Yurika SATO
佐藤優麗香 プロフィール 2

KNT-CTホールディングス株式会社 社長室(未来創造事業担当)
1995年生まれ
2018年 近畿日本ツーリスト首都圏に入社
修学旅行を始めとした教育旅行営業を担当。
「子供たちの選択肢を増やす仕事がしたい」という思いで公募を受け、2021年10月から未来創造事業に携わっている。

 

<文 / 林田順子>