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【イベントレポート】フード&アグリ領域に若い挑戦者を増やすために──TFIが「FOOD&AGRI FOODTECH Youth Summit」を立ち上げた背景 Food
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【イベントレポート】フード&アグリ領域に若い挑戦者を増やすために──TFIが「FOOD&AGRI FOODTECH Youth Summit」を立ち上げた背景

2025年10月26日、一般社団法人TOKYO FOOD INSTITUTE(TFI)は、CIC Instituteおよび東京農工大学と共同で、全国の大学生を対象とした「FOOD&AGRI FOODTECH Youth Summit 2025」を初開催した。

本イベントは、フード&アグリ領域における次世代の人材育成を目的とした取り組みである。背景には、他業界と比較して、スタートアップの数が少なく、若い世代にとって起業や新規事業への参入ハードルが高いという課題意識がある。
TFI事務局の渡部美和に、本イベントを立ち上げた背景と狙い、そして実施を通じて見えてきた成果と課題について話を聞いた。

 

フード&アグリ領域に若い挑戦者が少ない理由

 

「食領域はサプライチェーンが広く、長く、さらにプロダクト開発にも時間がかかるため、若者にとって参入障壁が高い分野だと感じています。食の将来を担う学生が産官学のプレイヤーと直接つながる場を作ることで、そのハードルを下げ、裾野を広げたい。そうした思いから企画がスタートしました」

会場となったのは、東京農工大学が電気通信大学、東京外語大学と連携し、2025年4月に設立したイノベーション共創拠点「邂逅館」だ。本施設は「農」「食」「エネルギー」を軸に、学生、研究者、企業、スタートアップが交差する場として設計されており、多様なプレイヤーが出会い、新たな接点を生み出す今回のイベントの趣旨とも重なる場所となった。

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産官学が交わり、フード&アグリの未来を語るトークセッション

 

イベントは、トークセッションと「学生アイデアピッチ」「研究者ピッチ」「スタートアップピッチ」の3部構成で行われた。

冒頭のトークセッションでは、業界が若者に対して期待していること、また企業や研究機関、行政がどのように立場を越えて共創しているのか、多様な視点を共有する場が設けられた。

渡部は、「大学生をもっとスタートアップ業界に近づけるきっかけになればいい」と話す。

最初のセッションでは、『フード・アグリ業界の入り口』をテーマに、農林水産省の新事業・国際グループの上野未菜子氏と東京農工大学・農学部環境資源科学科教授であり、西東京国際イノベーション共創拠点長の吉田誠氏が登壇。議論の中心となったのは、フード・アグリ業界において分断された領域を横断するイノベーションの必要性である。

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上野氏は、農林水産省が2020年に設立したフードテック官民協議会の取り組みを紹介し、
「個人で参加でき、専門的な議論をするワーキングチームや、高校生でも参加できるコミュニティサークルなど、様々な活動を行っています。参加者は産官学、さまざまな領域の方がいらっしゃいますが、“学”においては学者や研究者に留まらず、ぜひ学生にも参加していただきたいと思っています。私も考えが凝り固まってきていると自覚もしていますので、若い方のパワーは必要です」と呼びかけた。
これを受けて吉田氏も「フード&アグリの分野は産官学民が揃わないと難しい分野です。学生は視野が狭くなりがちなので、本イベントや官民協議会など異分野の人が集まる場所でぜひ視野を広めてほしい」と続けた。

続くセッションでは、TFI事務局長の沢田明大がモデレーターを務め、宮城大学教授の石川伸一氏、株式会社ビーンズ代表取締役・長谷川真吾氏、東京農工大学ディープテック産業開発機構准教授の跡部悠未氏が登壇。「フード&アグリ領域を学ぶ学生へのメッセージ」をテーマに、食の仕事に関わるようになった経緯や、フード&アグリ領域を学ぶ学生たちへのアドバイスが送られた。

セッションの中では、スタートアップを身近に感じることの重要性についても話題が上がった。石川氏の「身近な人がスタートアップを立ち上げていて、事例を肌で感じることは有効だと思います」という意見に対し、「自分にもできるんじゃないかと思えるはず」と長谷川氏と跡部氏も同意した。

さらに、日清製粉株式会社の川橋誠之氏、明治ホールディングスの鈴木美紀子氏、株式会社BitaPの千葉のどか氏、CIC Instituteの谷口理沙氏が登壇したセッションでは、「フード&アグリ分野における研究と社会をつなぐイノベーション」をテーマに、企業側が求めるイノベーションや、異分野間の共創の意義、そして実際にどのように共創を行なっているかについて語られた。

「ピッチは学生、アカデミア、スタートアップと、それぞれの成長ステージに合わせたカテゴリを設けることで、具体的にどのようなキャリアがあるのか、どう事業化をして行くのかをイメージしやすいと思い、3カテゴリで設定しました」と渡部はその意図を語る。

学生アイデアピッチは、5人の学生がそれぞれのアイデアを発表する場として開催。当初は大学生を想定していたが、高校生1名も参加した。

「アイデアのタイミングで世に出すことは非常に重要だと思っているので、高校生が参加してくださったのは本当にうれしかった。今後もこのような場を作っていくことで、フード&アグリ業界は面白くなっていくと思います」(沢田)

ピッチでは漁業を活用した環境問題への取り組み、飲食現場の課題へのロボット開発、ノンアルコール飲料開発、生成AIと電気刺激での飲食体験、フードロスやごみ問題解決のための食べられる皿など、多様なアイデアが発表された。

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「研究者ピッチ」では研究過程の製品やサービスによるピッチが行われ、外国人留学生も含めた5名が参加。質疑応答ではその評価とともに、社会実装のための課題やアドバイスも送られた。
また「スタートアップピッチ」には7社が参加し、2つのピッチコンテストの中から、5つの賞が7つの発表者に贈られた。

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初開催で見えた成果と、次への課題

 

「今回第1回目ということもあり、改善点はまだまだあると思っています。それでも参加してくださった大学関係者の方々から、これまでになかった、いろいろな方と繋がれる貴重な機会だったとおっしゃっていただきました。また高校生から企業の方々まで、世代や所属の垣根を超えて食について考える場を設けられたことの意義を私自身も実感しましたし、想像以上の熱量だったこともとてもうれしく思っています」と渡部は語る。

一方で課題も見えた。

「本イベントは東京都のスタートアップ支援展開事業『TOKYO SUTEAM』のプロジェクトとして実施しましたが、このような取り組みは継続することが重要です。今回は我々とつながりのある方々にお声がけをいただき、全国の大学から参加いただきましたが、どの大学でどんな食の研究がされているのか可視化されていないところがあります。その方たちにどう認識していただき、どう参加していただくのか。また、その方々がどのようなところで参入障壁を感じているのかを把握し、そこに対する課題解決につながる企画を生み出すことも重要だと考えています」

TFIでは今後も、こうした場づくりを重ねながら、食と農業の未来を担う若い世代との接点づくりを続けていく。今回のYouth Summitが、食と農業の未来に関わりたいと考える若い世代にとって、新たな一歩を踏み出すきっかけとなることを期待している。

 

渡部 美和
Miwa WATANABE

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一般社団法人Tokyo Food Institute事務局、東京建物まちづくり推進部FOOD & イノベーションシティ推進室。都市開発とコミュニティ創出に従事し、GIC Tokyoなど食・イノベーション領域の共創事業を推進。東京八重洲のコミュニティバーThe Flying Penguins(通称:フラペン)やスタートアップ支援施設「xBridgeシリーズ」の立ち上げにも関与し、企業・スタートアップ・研究機関の連携を促進。

 

<文 / 林田順子>