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【イベントレポート後編】「リジェネレーション」がテーマの国際カンファレンス「RegenerAction Japan 2023」開催 Food
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【イベントレポート後編】「リジェネレーション」がテーマの国際カンファレンス「RegenerAction Japan 2023」開催

【イベントレポート前編】「リジェネレーション」がテーマの国際カンファレンス「RegenerAction Japan 2023」2023年12月6日開催 から続く

 

日本企業が実践するリジェネラティブ事例

 

続く午後の部では「リジェネレーションの実践例を学ぶ」をテーマに、国内の事例として日本企業の取り組みの紹介や、スタートアップのピッチコンテストが開催された。

まずはPLANETS編集長の宇野常寛氏が「文化・習慣の再定義と人々の良い暮らし」をテーマに講演。「リジェネラティブを本当に考えるのであれば、働き方や家族観など、自分の身の回り2〜3kmのところから考える必要がある」と戦後中流からの脱却を提言した。

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「『水と生きる』〜サントリーのサスティナビリティ経営」をテーマに登壇したのは、サントリーホールディングスの北村暢康氏。水資源のサステナビリティをグローバルに推進するAWSによる国際認証で、熊本工場が「プラチナ」を獲得したサントリーは、創業時から特に水資源を中心に、サステナビリティを重視した企業理念を掲げている。

「地下水を育むための土壌保全型の環境林整備、健全な森づくりのプラン設計、自社の水科学研究所によるフィールドワークなどを行い、長いスパンで環境保全の計画を立てています」

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続いては東京建物の和泉晃氏が登壇し、「サステナブルなまちづくり」を実例を通じて、紹介。例えば、大手町タワーは、地下鉄5駅が集まる大規模再開発エリアに位置するが、敷地の1/3に当たる3400㎡を森林に充てることで、ヒートアイランド現象の緩和、皇居周辺エリアとつながる生態系ネットワークの形成、水の循環利用を実現。

「“都市を再生しながら、自然環境を再生する”をテーマにした街づくりを行う『次世代のディベロッパー』を目標としています」。
ほかにも都市農業モデルの実現や、歴史・伝統の再生などの実例を挙げた。

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次に、地域における2つの事例が紹介された。

馬路村(うまじむら)農業協同組合の木下彰二氏は、『「ゆずの村が育む」リジェネラティブな社会について』をテーマに登壇。高知県安芸郡にある馬路村は、96%が森林面積となっている。かつては林業を主要産業としてきたが、時代とともに衰退。そこで国有林であるがため、無農薬で栽培されてきたゆずを使ったポン酢やドリンクを地元民の協力を得て開発・販売し、成功を収めた。

「加工過程で発生するゆずの残渣は、木屑と混ぜて堆肥にし、農家に無料で配布するなど、産業廃棄物が発生しない取り組みなどもを行っています」

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島根県隠岐郡海士町(あまちょう)を中心に大人の島留学や島体験インターンシッププロジェクトなど行う、海士の青山敦士氏のテーマは「地域の伝統と歴史を活かした食・農・ツーリズム」。

ユネスコ世界ジオパーク認定された隠岐島にあるEntôは、国民宿舎を改修することで、世界遺産に負荷をかけない宿泊施設を実現した。
「海士町では、行政改革や観光・産業政策、廃校寸前だった高校を改革し、現在では他地域や海外からも修学に訪れる教育プログラムの実現など、さまざまな分野における取り組みを行っています。その1つの集大成がEntoの建設です」と、海士町がどのように地域で連携をしているかを実例を挙げて語った。

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WIRED日本版編集者・岡田弘太郎氏とSynfluxの川崎和也氏は「メディアから見るリジェネラティブカンパニー」について議論。過去にWIREDではリジェネラティブな企業を紹介する特集を組んでおり、昨年はリジェネラティブアワードも開催。その推薦者も務めた川崎氏とともに、どのような企業が表彰されたのかを語った。

「アパレル企業のサザビーリーグは、ロンハーマンというブランドを持っているのですが、ここは再生農業と発電事業を展開し、自社店舗の電力を自社発電で賄っているということで選出しました。食やアパレル、建築など既存の領域に留まらない企業も多く、リジェネラティブという方向に再編集し、知見を共有して進めていこうという取り組みが多いのが面白い」(川崎:写真右)

「これからは共通化が重要だと考えています。とはいえまだビジネスモデルが確立されていない中で、どう資本化をしていくかが今後の課題でしょう」(岡田:写真左)

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また別会場では、午前の部に登壇したFFIのAlessandro氏と深田氏による「リジェネレーションの思考を体感する」をテーマにしたアンカンファレンスも並行して開催。東京での具体的なアクションに向けてのディスカッションなどが行われた。

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多業種のスタートアップがピッチコンテストに参加

 

最後のセッションでは、リジェネラティブピッチコンテストにスタートアップ6社が参加。東京建物、FFI、TFI各1名が審査員を務める中、ピッチが行われた。

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植物工場を運営するPLANTX社は葉野菜だけでなく、根菜類も育てることができ、1種類ずつ環境制御ができる技術を開発。物流でのCO2排出削減や、輸入に頼る植物の栽培も可能となった。

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Synflux社はアパレル産業の廃棄物に着目。計算機アルゴリズムを活用することで、生地の裁断時に発生する廃棄物が従来の1/3になり、使用するテキスタイルも12%削減することに成功している。

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Combey社は50~100回利用できる梱包材を開発。段ボールの回収などに消費されるCO2を削減できるだけでなく、消費者の段ボール廃棄の手間の省略や、人手不足の解消も可能となる。この技術でEC社会に適した新しい物流システムを構築を目指す。

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海藻の豊かな食文化を持ち、世界から注目を集めながらも、国内では衰退傾向にある海藻を次世代に継承したいとスタートしたのが、シーベジタブル社。陸上と海上の両方で培養することができ、絶滅が危惧される海藻の養殖も可能だという。

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 生物多様性や海洋プラスチック問題など、消費者に伝わりにくい食品のサスティナビリティを数値化したのがクロンクロップ社の手がける「マイエコものさし」。商品ごとに計測ができるため、小規模事業者でも商品のブランディングや営業ツールとして活用することができる。

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蒟蒻を活用し、肥満やアレルギーなど、食にまつわる健康課題の解決を狙うのがSydecas社。これまでは糖や油脂、ゼラチンなどで食材を結着していたが、蒟蒻の凝固特性で利用することで、食材の成形が可能になるという。健康だけでなく、食の楽しみにも着目したスナックの自社開発も行っている。

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アンカンファレンスで行われた内容の報告が行われる間にピッチコンテストの審査が進み、シーベジタブル社がFuture Food賞を、Sydecas社が東京建物賞を受賞。


シーベジタブル社にはFFIの本拠地であるポリカへの招待が、Sydecas社には5月にスペインで行われるフードイベントへの参加支援が副賞として贈られた。
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クロージングには東京建物の小澤氏が再び登壇。
トークセッションを振り返り、「リジェネラティブな取り組みがここまで広がっていることに驚きました。共感することがとても大事で、思いが突き動かしていくことを強く感じました」とカンファレンスを総括した。

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東京建物・Future Food Institute、Tokyo Food Instituteでは、今後もこのようなカンファレンスを継続的に行っていく予定になっている。リジェネレーションの考え方の広がりや、各社の今後の取り組みにも注目をしてほしい。

 

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<文 / 林田順子>