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【イベントレポート後編】日本のFOODエコシステムをリード!異分野融合で新たな食の製品・サービスを”社会実装する”「Future Food Connect 2024」9月12日実施 Food
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【イベントレポート後編】日本のFOODエコシステムをリード!異分野融合で新たな食の製品・サービスを”社会実装する”「Future Food Connect 2024」9月12日実施

2024年9月12日、『異分野融合で新たな食の製品・サービスを”社会実装する”』をテーマにしたカンファレンス「Future Food Connect 2023」が虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーCIC内のVenture Café Tokyoで開催された。前編に続き、後編をお伝えする。

 

目次

  1. 食の社会課題解決を担うスタートアップによるピッチコンテスト
  2. 異なる視点から食の未来を考えるクロストーク

 


食の社会課題解決を担うスタートアップによるピッチコンテスト

 

Future Food Connectでは、スペインの学術機関Basque Culinary Center(BCC)やイタリアのFuture Food Institute(FFI)との連携により、スタートアップの認知向上と事業支援の一環としたピッチイベントも開催された。

ピッチコンテストには9社が参加。BCCが11月に日本で開催する「Culinary Action On The Road by BCC」への推薦が受けられるTokyo Food Insititute賞を含め、3つの賞が用意され、3名の審査員は各スタートアップの着眼点や、技術力などを評価し、選定を行なった。

Future Food Institute賞に選ばれたのは、パイナップルの皮を再利用した植物性レザーを提供する『PEEL Lab』。動物性レザーは、加工工程での環境汚染や、牛からのメタンガス、80%もの廃棄率、製造者のがんリスクなど、さまざまな課題を抱えており、アパレル素材の中でも環境への負荷が高いと言われている。PEEL Labは問題解決のため、パイナップルレザーをアパレルメーカーなどに提供。2021年時点で500kgのパイナップルをアップサイクルし、350tのCO2削減を実現した。

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審査員の一人であるFFIの深田昌則は受賞理由について、「ニューマテリアルという意味で、非常に可能性が大きい。小さなアイデアと思われるものが、これからの世の中を変えるきっかけになることがある。今後の植物性素材の可能性と広がりを感じ、選ばせていただきました」と語った。

Venture Café Tokyo賞を受賞したのは、山形大学の米沢キャンパスで設立されたスタートアップ『F-EAT』。3Dフードプリンティングと空間コンピューティングを駆使して、誰もが障壁を超えて、健康でおいしく食事を楽しめる世界を目指している。この技術が発展すれば、将来的には離れた家族と会話をしながら、同じ食事をできる世界も可能になるという。
「ビジネス的にはこれからですが、中長期的視点に立つと、見たことのない新しい食文化が生まれるのではないか。ぜひ見てみたいとワクワクしたのが選定理由です」(審査員:Venture Café Tokyo エグゼクティブ・ディレクター・小村隆祐)

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Tokyo Food Institute賞に選ばれたのは、中性子により品種改良を行う、クォンタムフラワーズ&フーズ。気候変動などで生態系が変わりつつある現在、世界的に新たな品種が求められている。同社の技術は細胞のDNAに中性子を当てることで、遺伝子に変化をもたらすことが可能になる。食品以外に、産業用素材、薬剤、化粧品などへの活用も期待されている。
審査員であるTFI代表理事の沢は「昨年はここで受賞したスタートアップが、BCCのグローバルピッチコンテストで優勝されました。どのスタートアップもとても素晴らしい内容でしたが、グローバルへの影響という面から今回選出させていただきました」と選出の理由を明かした。

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異なる視点から食の未来を考えるクロストーク

 

隣接するカンファレンスルームでは、異業種の登壇者が食の未来を語るクロストークが行われた。

第一部は「食品企業開発者と大学食品科学者の融合から見る『健康』の未来」をテーマに、宮城大学食産業学群の石川伸一氏と、日清食品HLDグローバルイノベーション研究センターの瀬戸次朗氏が登壇。
日清食品の主力商品であるカップラーメンには2つの健康課題があるという。1つは消費者の健康意識。現在、カップラーメンの健康への取り組みは格段に進歩しているという。それでも「カップラーメンは体に悪い」、「健康とおいしさはトレードオフ」と考える消費者の価値観をどのように払拭していけばいいのかなどが議論された。2つ目は社会全体、環境全体の健康だ。日清では環境破壊や児童労働などの問題が取り沙汰されるパーム油を持続可能なものに変えるべく、調達先の変更や、酵母からパーム油を作る研究も行われている。また、企業研究だけでは限りがあるため、アカデミアとの共創が必要だと語られた。

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第二部は飲食店のプロデュースなどを手掛ける株式会社ケイオス代表取締役の澤田充氏をモデレーターに、4名の料理人経験者やシェフが登壇し、「料理人の仕事場はキッチンだけではない」をテーマに語り合った。

料理を文化と考える澤田氏は、キッチン以外でもその文化を生かして欲しいという思いを持つ。キッチンを飛び出し、現在、オンラインを中心にチーズケーキを販売するMr. CHEESECAKEの田村浩二氏、銀行員からフランス料理の世界に入り、現在はワインのさまざまな提案や普及を行っているマリアージュの蜂須賀紀子氏、奈良県の宇陀市でレストラン・INA labをオープンした中村侑矢氏・李在郎氏は澤田氏の考えに共感。それぞれの立場から、長時間労働などの飲食業が抱える課題や、これからの日本のレストランのあり方などを語った。

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第三部は作家の島村菜津氏、東洋大学教授でスローなまちづくり全国推進委員会事務局長の鈴木鉄忠氏を招き、FFIの深田昌則をモデレーターに「食を通じたイノベーションと社会の未来づくり〜欧州からのリジェネラティブなアプローチを考える」をテーマに語り合った。

2000年に「スローフードな人生」という本を執筆し、イタリアのスローフード運動を紹介した作家の島村氏は、グローバル化社会の中で、食のアイデンティティの重要性を訴え、日本の一次産業従事者が直面する危機感を訴えかけた。鈴木氏は利便性を追求し、イノベーションが加速度的に進化した結果、さらに忙しくなった現代人は、そもそも本当に時間がないのか、スローなスタイルを今こそ見つめ直すことが大事だと、世界的な事例も交えながら語った。両名とも、経済を大きくシフトチェンジするのは難しいからこそ、個々がスローなライフスタイルを取り入れることを積み重ねて環境への負荷は減らす、草の根運動の大切さを訴えた。

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第四部のテーマは「エピゲノムと食の未来―長寿の鍵を握る食生活の科学」。
レリクサ代表取締役の仲木竜氏、リバネス執行役員の武田隆太氏、UnlocX取締役の岡田亜希子氏、グローカリンク取締役の西川信太朗氏の4名が、世界で注目をされるエピゲノムとは何か、それがどう長寿に影響するかなど、そのメカニズムを語った。 遺伝的な要因をゲノムと呼ぶのに対し、時間や体の変化、外的環境などの蓄積による変化がエピゲノムだ。これまでは主に病気に関連する研究が行われてきたが、近年、解析費用の低価格化に伴い、老化に関する動きが活発化しているという。サプリや食品などでの老化の根本的解決のためのソリューションも視野に、遠くない将来、人間の寿命はさらに伸びると予想した。

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約4時間に及び行われたイベントのクローズトークとして、TFIの沢俊和とUnlocX代表取締役CEOの田中宏隆が登壇。

「この場に集まって、ただ名刺交換をするだけではもったいない。無駄に思えるようなこともどんどん議論して、トライして、色々な方とつながってほしい。その先に私たちの協力が必要なことがあれば、相談をしていただければサポートをします」とイベントの残り時間の有効活用を呼びかけた。
ラウンジにはスタートアップの認知向上のため、新しい食を体験できる試食や展示ブースが設置されていて、会場内の至る所で参加者や企業が深く意見を交わすなど、会場は最後まで盛り上がりを見せていた。

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11月6日には、BCCのピッチイベントCulinary Action! On The Road by BCCの日本大会が、11月上旬には食の大学院を目指したGastronomy Innovation Campus Tokyoが開校、11月25日にはリジェネラティブを東京から発信するカンファレンスRegenerAction Japan 2024を開催するなど、TFIでは今後もさまざまなイベントを予定している。こちらにもぜひ足を運んでもらいたい。

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【イベントレポート前編】日本のFOODエコシステムをリード!異分野融合で新たな食の製品・サービスを”社会実装する”「Future Food Connect 2024」9月12日実施を読む

 

<文 / 林田順子>