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【イベントレポート】【沢田明大氏】世界の食の最先端を学ぶ「ガストロノミーサイエンス」セミナーをGIC Tokyoで開催 Food
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【イベントレポート】【沢田明大氏】世界の食の最先端を学ぶ「ガストロノミーサイエンス」セミナーをGIC Tokyoで開催

スペイン・サンセバスチャンに本校を置く世界最高峰の食の学術機関Basque Culinary Center(BCC)。その次世代教育・事業共創プラットフォームとして設立されたのが「Gastronomy Open Ecosystem(GOe)」である。

そのGOeによる教育プログラムを日本で体験できる機会として、東京・八重洲にある「Gastronomy Innovation Campus Tokyo(GIC Tokyo)」において6月に開催されたのが、1DAYセミナー「ガストロノミーサイエンス」である。今回はその開催意義や狙いについて、主催した東京建物株式会社の沢田明大氏に話を聞いた。

 

多彩な人々が集うことで生まれる多様な共創の糸口

 

今回のセミナーは、GOeの講師陣による日本で3回目の開催となる。過去2回は招待制で行われたが、今回は一般にも公開され、食にまつわる様々な人々が参加した。

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「日本企業やアカデミアの多くは今、新たな事業共創を模索しています。360度の視点で食を捉えるBCCの教育プログラムは、その発想を得るうえで非常に有効です。なかでも、コンサルティング的な視点に特化したGOeプログラムは、企業等が持つ課題に対して実践的なヒントを与えてくれると考えています。日本開催するBCCやGOeの理念や教育に触れてもらい、グローバル視点での共創の可能性を感じてもらう。1DAYセミナーはその入り口になればと考えています」と沢田氏は語る。

今回の受講対象者は「食に関わるすべての人」。食や食以外の企業のR&D担当者やスタートアップ、アカデミアや行政関係者、さらには別の教育機関で学ぶ人など、分野を超えた人々が集った。

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五感で学ぶ最先端のガストロノミーサイエンス

 

セミナーのテーマは、ヨーロッパにおいて大きな潮流となっている美食と科学の異分野融合「ガストロノミーサイエンス」。
まずは最新の研究やテクニック・トレンドを共有したうえで、シェフや研究者、企業、スタートアップがどのように連携し、どのような化学反応を生み出しているのかを実例を交えながら紹介。食と科学、文化と技術の融合から生まれる新しい発想を提示した。

GIC Tokyoの特徴は、単なる座学ではなく、本格的な調理・試食を通じた体験型プログラムにもある。講師陣は食材の組み合わせや調理科学の知見を交えながら、受講者と対話を重ね、さらに「食べる」「香る」「触れる」といった五感を使ったプロセスが、受講者に強い印象を残す。

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「講師が実際に調理を行い、立ち昇る煙や、漂う香りのなかで、五感を通じたカンバセーションが生まれる。こうした体験的なプログラムが参加者同士の距離を一気に縮め、闊達な会話や議論を生み、共創の土壌を育てると考えています」

GIC Tokyoにはプロ仕様の調理環境が整っており、「五感を伴う知の共有」が生まれることが強みとなっている。

 

1DAYプログラムが、共創の着想を得るための入り口に

 

受講後の参加者の反応からは、改めて日本企業が抱える課題も浮かび上がった。

「『自分たちの事業が“行き詰まっている”と感じていた』『新しいアイデアの糸口が見つからなかった』という声が多く聞かれました」

しかし、ガストロノミーとサイエンスの融合に触れることで、「異分野との共創が新たな発想を生む鍵だと実感されたようです」と沢田氏は語る。
実際にある家電メーカーはこの講座をきっかけに食関連の新規プロジェクトを検討中であり、食品メーカーもBCCとの共同研究の可能性を探っているという。

「日本の食文化は豊かでありながら、発想が停滞する傾向がある。その状況に風穴を開けるのがこのプログラムの役割です。世界の食の最前線では、料理人と科学者、企業とアカデミア・スタートアップなどが、対等に議論しながら、未来の食文化を形成し始めています。日本では知られていない知や手法に触れることで、共創の未来像が具体的に描けるのです」。

GIC Tokyoでは、日本国内でのセミナー開催にとどまらず、2024年からBCC本校への視察や共創ツアーを実施している。これまでにもセミナーをきっかけに現地を訪れ、より深い学びとネットワークを得た企業やスタートアップも多い。

「本セミナーはBCCやGOeがどんな教育や共創をしているのかを知るための入り口として最適です」と沢田氏は説明する。

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セミナーの定員はおよそ24名。少人数制を維持することにも明確な理由がある。
「限定された人数で、インタラクティブなやり取りが進み、一流講師への質疑応答やガストロノミー体験の深さが発揮されます。オンライン講座が増えるなかで、実際に顔を合わせ、試食や受講を通じて学び合うことの重要性を改めて感じています」

また、セミナーも2023年から3回目を迎え、講師陣との連携が強化されたことで、着実に進化をしている。

「講義内容のクオリティは年々高まってます。日本の企業文化・調理設備の違いなど、様々な課題がありますが、その都度、講師と議論を重ね、日本の環境に即した最適解を探っており、互いの理想の形が見えてきたと感じています。」

セミナーを通じ、GIC Tokyoは単なる教育の場ではなく、食の未来をつなぐ“知のプラットフォーム”としての存在感を高めている。
今後はさらに深化したプログラムの開催も予定されている。GIC Tokyoが思い描く共創のプラットフォームは、これからさらに新たな局面へと広がっていくだろう。

 

沢田 明大
Rocky SAWADA

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北海道帯広市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、東京建物株式会社にて、住宅事業を担当し、米国東京建物駐在を経て、国内外不動産のクロスボーダー取引を担当。2021年より、サステナブルのその先“リジェネラティブ”な社会を東京から実現するため、様々なみなさんとFOOD食を軸とした共創とイノベーション創出をサポートしている。

 

Gastronomy Innovation Campus Tokyo(GIC Tokyo)
東京都中央区八重洲1丁目4-16
八重仲ダイニング 地下2階
https://gictokyo.com/

 

<文 / 林田順子>